ファンダメンタル?テクニカル?
取引知識は、大きく分けて「商品概要に関する知識」と「外国為替市場自体に関する知識」の2つに分けられます。
まず「商品概要に関する知識」を持つことは大前提であり、絶対に必要な知識です。
とはいえ、難しいことを覚えておく必要はありません。
これまで当ブログのFX考察でもお話ししたように、リスクについてしっかりと認識し、取引時間や「売り」「買い」の両方から取引できるといったFXの特性を理解していれば問題ありません。
ただ実際の取引に際しては、何かわからないところがあれば、利用している取引業者に直接疑問をぶつけ、その疑問が解決してから取引に望む姿勢も必要でしょう。
特にリスクについては、分かったつもりで軽く考えている方が大きな損失を被る場合があるので、十分に理解してから取引を始めるべきです。
また、取引知識を知っていても上手に活かせないという事がよくあります。
例えば株式投資などに慣れてしまっている場合は「買い」からしか取引を行えなかったり、円を含まない外貨の組み合わせに抵抗があるといった感じです。
このように独自の価値観で固定概念を作ってしまっていては、せっかくのお金を稼ぐチャンスを棒に振る可能性が高くなりますので、自分の知識を柔軟にしておくことも考えましょう。
そしてFXの基本的な知識をお持ちになったら、同様に外国為替市場の知識を身に着けるべきです。
様々な取引参加者が多種多様な理由で取引する外国為替市場では、取引参加者の動向によって時間や季節的な特徴、通貨ペアごとの特徴などが生まれたりするからです。
そのような知識を持っているかどうかで勝率は大幅に変わりますので、この部分について以下から詳しく見ていきます。
市場動向の予測に欠かせない「ファンダメンタル分析」と「テクニカル分析」
FXでお金を稼ぐために取引の知識をしっかりと理解したら、次のステップは実際の取引状況がどのようになるかを予測する「分析能力」です。
市場の動きを予測するには、主に2つの方法があります。
一つは外国為替市場などを取り巻く世界の経済情勢を分析し、将来の需給の流れを予測する「ファンダメンタル分析」と、過去の動きをチャートにし、過去のデータから今後の動きを予想する「テクニカル分析」です。
取引スタイルによって、将来の値動きを予測するためのテクニカル分析をあまり重視しない投資家や、チャートや過去のデータのみを見る投資家など、どちらか一方に特化した極端なケースもありますが、私的には状況に応じて両方の分析をすることが重要だと考えています。
ファンダメンタル分析
ではまず、「ファンダメンタル分析」を見てみましょう。
為替レートを決定するのは、各国の通貨の需要と供給バランスです。
貿易、投資、旅行など、需給を生み出すものはたくさんある中、それらの状況を把握して外国為替市場の各通貨の需給バランスや変化を予測するのがファンダメンタル分析です。
このように聞くと難しい印象を受けるかもしれませんが、例えば、今年はゴールデンウィークに海外へ行く人がたくさんいるというニュースを聞いた場合、「海外旅行には外貨が必要なので、円が売られて外貨の買いが増えそうだな」と考えることも、基本的なファンダメンタル分析の一つです。
さらに、米国のクリスマスビジネスが活況だというニュースを聞いて、「米国経済は良好に見える」としてドル買いを意識してみたり、または「ワールドカップが活気づいている」と聞いた際はワールドカップ開催国の経済影響を意識してみたりと、身の回りから世界各国に至るまで、色々な現象が為替に及ぼす影響を考えていくのがファンダメンタル分析の基本です。
株式市場の場合、投資銘柄が属する業界の状況や市場動向などの特別な知識が必要になりますが、為替市場の場合は世界的な経済情勢に基づいて相場が変動します。
従って部分的にしか通用しない特別な知識ではなく、一般的な教養として役立つ世界経済に関する知識を持つことが必要になるわけで、こうした知識はこれからファンダメンタル分析を研究したい投資家にとって非常に重要なものになります。
とはいえ、世界中の様々な事象が外国為替市場に影響を与えるといっても、その影響力にはそれぞれ「差」がありますし、実際には世界中の全ての状況について確認することは不可能ですので、為替市場と関係が深そうな項目に特に注意して分析を行っていくことになります。
具体的には、世界の資金需要に最も影響を与える国の経済情勢と金利動向に集中したり、テロや大統領選挙などの政治的変化などですね。
これらは為替市場への影響を受けやすい傾向にあるからです。
実際の取引においては、現状を織り込んだ上で現在の為替水準が成り立っているという前提のもと、経済指標の発表、各国政府や中央銀行の要人の発言、世界規模のニュースなどを分析して、これまで織り込んだ状況の変化や今後の変化の兆しを見極めていく作業になります。
こうしたファンダメンタル分析の利点は、市場のトレンド(流れ)を生み出している材料を明確に特定できることです。
材料が明確に分かれば、その状況の変化に対処しやすくなるからです。
また、指標やニュースは、その材料が出た直後から大きな値動きになることがありますが、そうした材料を受けた短期的な変動にも対処しやすいという利点があります。
その一方で、限界もあります。
個人投資家の場合、情報を入手するスピードに限界があるのです。
プロのディーラーは一般の人々よりも早く、銀行のディーリングルームなどでロイターやブルームバーグといった通信社から送られてくる世界中の情報を、一般人よりひと足早く知ることができます。
為替レートに影響を与える大きなニュースは、その後にテレビや新聞などで見ることができますが、即時の情報という観点では、どうしても「個人」投資家にとって不利になりがちなのです。
しかし近年では、取引に必要な情報を載せたネット上のサイトも充実しています。
ただ、たとえ情報を迅速に入手したとしても、それで日々の短期的な値動きが全て決まるわけではありません。
日中の短期的な値動きは、例えば大量の投機的注文に応じて上下動を起こしていることが多く、ファンダメンタル分析でその理由を明確にするのは困難なのです。
中期的な動きでも限界がないわけではありません。
データ収集の性質上、ファンダメンタル分析の主要材料の1つである経済指標は、発表から実際の経済状況までの間にタイムラグを生じさせ、それらの変化による需給の変化に気づくのが遅れてしまうのです。
「ファンダメンタル分析」の基本は世界情勢を把握すること
・投資・オイルマネー・海外旅行・主要国の経済一指標の発表・各国通貨(米ドル、日本円、ユーロ、中国人民元、ポンド、スイスフラン、オーストラリアドル、カナダドル)・テロ・オリンピック・貿易・要人発言・戦争など。
※世界情勢を知れば、各国通貨の需給が見えてくる
テクニカル分析
もう1つの分析は「テクニカル分析」です。
テクニカル分析は過去の価格変動をチャートの形で表現し、将来の動向を予測することであり、以下の3つを前提としています。
前提1:市場の動きはすべての材料を織り込んでいる
前提2:価格の動きはトレンド(流れ)を形成する
前提3:歴史は繰り返す
チャートは価格の動きのみを追いかけた特殊なデータグラフですが、その背後にあるのは為替取引という人間の行動です。
取引参加者の行動は変わらないという前提に基づいて、基本的な考え方は「過去に似た相場があれば、その後の発展も似たものになる」ということです。
テクニカル分析のメリットは上記のファンダメンタル分析とは異なり、経済に関する情報や知識を必要としない点にあります。
外国為替市場は基本的に、経済統計や世界のニュースなど誰でも入手できるオープンな材料に基づいて相場が決まる市場ですが、そのような材料すべてを特定することは困難です。
ですがその一方でテクニカル分析は、それらの材料はすべて過去の価格変動に織り込まれているとして、そうした値動きのパターンを研究し、今後の相場を見極めるというものです。
またファンダメンタル分析の場合、必要な情報や材料は誰でも入手できると言っても、入手までのスピードという面においてはプロの投資家と一般の個人投資家の間で差があることは事実です。
しかしチャートによる値動きの情報であれば、一般の人でも簡単にリアルタイムのものを入手できるので、プロの投資家でも一般の個人投資家でもみんな条件は同じです。
従って立場の差ではなく、個々の分析能力の差が、勝率の差になって出てくるというわけです。
ただ、そのようなテクニカル分析にも限界はあります。
それは先に記載した3つの前提条件に対して、「実際の市場価格が完全にあてはまっているとは言えないこと」と「まれな状況が発生したときの対処の難しさ」などです。
また、テクニカル分析だけでは経済指標の発表や突然のニュースなどへの対応も遅れてしまうというデメリットもあります。
なお、テクニカル分析には2つの主要なパターンがあります。
1つは「トレンド系」、もう1つは「オシレータ系」です。
以下からそれぞれ簡単に触れます。
トレンド系
トレンド系は、市場の大まかな流れを見極めようというものです。
相場は上昇や下降する時に、一方向に一気に進むのではなく、細かい上下動を繰り返しながら、しばらくたってみると「上がっていた」「下がっていた」という場合が大部分を占めます。
※上昇トレンドの例↓
※下降トレンドの例↓
したがって、価格の動きを詳細に追跡すると、自分が向かっている場所を見失ってしまいがちです。
そこで価格動向の水準を平準化したりして、市場の方向性が探求するというのが「トレンド系」のテクニカル分析です。
代表的な例としては、移動平均線、トレンドライン(傾向線)分析、一目均衡表などがあります。
※移動平均線の例↓
※トレンドラインの例↓
※一目均衡表の例↓
オシレータ系
オシレータ系は、トレンドの強さと過熱感を測ろうというものです。
トレンド便乗してに投資することがトレーディングの基礎であると言われていますが、そのトレンドは最終的に終わりを迎え、そして逆転します。※トレンドの転換
「オシレータ系」のテクニカル分析の特徴は、これらのトレンドの変化の兆候を察知するのに敏感だということです。
代表的なものはMACDですかね。
※MACDの例↓
どちらか一方のテクニカル分析を見るだけでなく、各人の投資スタイルに従って複数のテクニカル分析を組み合わせて考えることも大切です。
たとえばトレンド分析によるポジションを作成し、オシレータ分析による決済のタイミングを決定するなど、取引では柔軟にいくつかの方法を使用することが重要です。