損切り?ナンピン?
利確・損切りをする時、絶対的に守るべきルールがあります。
それは、「利確のポイントを損切りのポイントよりも離す」ことです。
利確のポイントを1円、損切りを50銭に設定した場合、5勝5敗でも2円50銭儲かります。
4勝6敗でもまだ1円の儲けです。
もちろん、利確までと損切りまでの差が2倍もあるので、4勝6敗という成績であっても簡単なものではありませんが、非現実的な話でもありません。
しかし実際の取引はこれとは逆に、儲かる時は50銭、負ける時は1円以上というように、設ける時の方が負ける時よりも小さくなる例が多いようです。
人間の心理として、儲かるとどうしても「早く確定したい、ここから反転して損を出したくない」という気持ちが働きます。
逆に損が出るとどうしても「損を確定させたくない、反転して元に戻らないかな」という気持ちが働きます。
そのため「損切りよりも利確を遠くに置く」、という意識をしっかり持たないと、利確のポイントを損切りのポイントから離すことはできません。
…確かに、予想に反して相場が下落した場合、その後反転して元に戻る可能性もあります。
しかし、自分が想定している範囲を突き抜けるような大きな動きになった時に、利確を早めに確定してしまっては大きな儲けをとり損ない、負ける時は大きく負けるということになってしまいます。
これでは、トータルで収益を出すことは難しくなります。
「利確は深く、損切りは浅く」という相場格言があるくらい、放っておけば「利確は浅く、損切りは深く」なるものです。
分析の精度をいくら上げても、世界中のあらゆる事項が材料となりうる外国為替の世界で、100%の予測をすることは不可能です。
●「自分の予想の逆にいったら、そのポジションには固執しない」
●「うまくいった時はしっかりと儲ける」
こうした意識がポジションを作る際には必要なのです。
4:「塩漬け」&「ナンピン」は基本的に夕ブー
時間とお金が無駄になる可能性が高い
マネーマネジメント面から取引を見るにあたって、基本的にやってはいけないことが二つあります。
それは、「塩漬け」と「ナンピン」です。
以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。
「塩漬け」
「塩漬け」とは、評価損が出ている取引を、損失を確定させずに利益が上がるまで放っておくという取引手法です。
株式市場のように、買った金額以上に損が出ることがない取引であれば、好ましくないとは言えず、完全に否定することもありません。
しかし、外国為替証拠金取引は、レバレッジを利かせてもともとの投資金額よりもはるかに大介きい金額を投資することが可能です。
そのため、放っておいたらもともとの投資金額以上の損失が出ることもあるため、ある程度損失が膨らんだ時点で、自動的にポジションがクローズされてしまいます(「自動ロスカット」と言います)。
自動ロスカットを避けるためには、追加でお金を入れていくことになりますが、取引金額が大きすぎれば、それにも限界があります。
また、追加でお金を入れるということは、もともとの想定以上に損が出ていて、相場の見通しが明らかに外れているということです。
そうした状態でさらにお金をつぎ込むことが危険であることは言うまでもありません。
なお、首尾よく値が戻ったとしても、ようやくプラスマイナスゼロです。
その分のお金と手間を別の投資に回した方が、よっぽど効率がよい投資ができたことでしょう。
「ナンピン」
例えば、1ドル120円の時に1万ドル買ったら、残念ながら1ドル118円に下がってしまったとします。
そこで118円でもう1万ドル買って、トータルポジションを2万ドルにし、平均コストを119円に下げるのが「ナンピン」です。
「120円まで値を戻すのは大変だけど、119円なら戻る期待も強まり、損失をカバーできる可能性が高くなる」というものです。
一見、素晴らしい投資手法に見えますが、この問題点は、「ナンピン」したものの、そのまま相場が逆に行き続けた場合です。
ポジションが倍になっているわけですから、そこからは損失も倍になります。
要は、よりリスクを高めて、リターン期待を大きくしているにすぎません。
ナンピンする時点で、もともとの相場観が外れているにもかかわらず、さらに取引ポジションを大きくするのですから、リスクの高さがわかろうというものです。
ただし、当初から意図的にナンピンを行うこともあります。
「そろそろ上昇しそうだが、もう少し下落する余地があって、現時点でいつもどおりのポジションを持つのは危険すぎる。本来持ちたいポジションの一部を現時点で持つことにして、下がってきたらさらにポジションを増やそう。そのまま上がってしまえば、いつもよりはポジションが少ないけれども、それでもないよりもマシ」
というふうに、当初からナンピンを視野に入れてポジションを持つという場合です。
この場合は、相場観が外れている状況において取引量を増やすというのとはちょっと意味合いが違ってくるので、特に問題はありません。
「塩漬け」と「ナンピン」の特徴
1:塩漬け
評価損が出ているにもかかわらず、損失を確定しないで利益が上がるまでそのままにしておく取引手法。
※絶対にやってはいけない行為です。
2:ナンピン
いったん保有したポジションのコスト改善のため、さらに下がった価格で追加購入し、平均コストを下げる取引手法。
※基本的にやってはいけない行為です。
5:自分に合ったトレードスタイルを確立させる
人によって投資方法は千差万別。まずは自分のスタイルを確立する
マネーマネジメントの意識をしっかり持ったら、これまでの相場への知識や分析手法なども生かして、実際に取引を行う際の手順について考えてみましょう。
まず大切なことは、実際にポジションを持つ前に、自分がどのようなスタンスで取引を行っていくのかを確認することです。
自分のスタイルを確認するには、自分自身の取引における「想定投資期間」「得意とする相場分析手法」「リスク許容度」などを把握する必要があります。
投資スタンスは人それぞれ違うため、「どの程度の取引期間が最も適当か」「何が相場分析として最も有効か」と言った王道はありません。
あくまで自分が取引しやすい方法を選んで、リスクをきちんとコントロールしながら、収益を目指すことが必要です。
自分のスタイルをきちんと持っていないと、効率の悪い分析手法を選択することにもなってしまいます。
これでは、投資は決してうまくいきません。
「短期」「中期」「長期」のどれにするか?
自分のスタイルを把握するには、まずは自身に最適な「投資期間」を決める必要があります。
投資期間は、基本的に「短期」「中期」「長期」の三つに分けられます。
以下、それぞれのパターンの特徴を詳しくまとめました。
自分の仕事や生活パターン、投資金額や入手できる情報などを踏まえた上で、自分はどの期間のタイプで外国為替証拠金取引を行うのがベストか、参考にしてください。
「短期」取引
まずは、1日の中で何度も取引を繰り返して、値動きによるキャピタルゲインを積極的に取りに行く「短期」取引です。
デイトレーダーと呼ばれる人たちがここに含まれます。
経済指標や要人の発言などからの市場の反応をすばやく読みとったり、チャートなどで相場の短期のトレンドやそのトレンドの過熱感などをつかんで取引を行います。
銀行間のインターバンクディーラーと呼ばれる人たちのほとんどが、短期投資を中心に行います。
目標とする値幅を小さくし、その分数多くの取引をこなす取引手法で、値幅が小さい分、ある程度取引単位がまとまっていないと大きな収益が望めないため、もともとの投資金額に対するレバレッジは大きくなる傾向にあります。
そのため、思惑が外れた時の損切りをうまく使いこなせないと、大きな損につながる可能性の高いハイリスクな投資手法と言えます。
1日のうち、ある程度まとまった時間を外国為替市場に向けられる投資家向きです。
「中期」取引
続いて、数日から1週間程度の投資単位で取引を行う「中期」取引です。
経済指標や発言、ニュースなどで生まれた相場のトレンドを活かした投資手法と言えます。
指標などの一つの材料に反応して値動きが起こるのはこの期間であることが多く、チャートなどでもトレンドが確認しやすいというメリットがあります。
短期取引に比べるとレバレッジは低くなりがちですが、全くの低レバレッジでは取引における資金効率が悪くなるので、リスクと期待リターンのバランスが必要になります。
日々の情報収集と、相場を動かす材料を見極める目が大切になります。
また、日々の細かい値動きなどにポジションが閉じられてしまわないように、ある程度余裕を持った取引が必要となります。
短期取引と違って、常にパソコンの前に座っていなければならないということはなく、サラリーマンやOLといった一般の人たち向きと言えるでしょう。
「長期」取引
最後に、数カ月から数年という単位で取引を行う「長期」投資です。
この場合、値動きにプラスしてスワップポイントが重要になります。
レバレッジを抑えて、外貨預金と同様にインカムゲインを狙う戦略になります。
相当な長期にわたって取引を継続することが前提になっていますので、レバレッジを高くしてしまうと、途中の値動きによって評価損がかさみすぎて取引続行が立ち行かなくなるという事態となり、それだけは避ける必要があります。
また外国為替証拠金取引は、一般的に銀行の外貨預金よりも手数料が安く、金利面でも有利なことが多いため、レバレッジが1倍でも意味のある投資になります。
最大でも2倍程度が適切なレバレッジだと思います。
ただし、これまでの歴史の中で、
「高金利通貨は、長期的には安くなる傾向があること」
「通貨の値動きによるリスクは、スワップポイントによる収益を超える可能性があること」
「スワップポイント自体が一定ではなく、期待された収益が上がらないことがあること」
などを考慮する必要があります。
また、スワップポイントに注目しているからといって値動きを軽視せず、適切なところでポジションを作る必要もあります。
投資期間を決めたら、途中で変更しないこと
以上、それぞれの期間について述べましたが、投資期間で大切なことは、ポジションを作る際に、意識した投資期間を途中で変更しないことです。
「短期投資のつもりで持ったポジションが、残念なことに思惑が外れて評価損が出てきたので長期投資に切り替えた」などの事態は最も避けるべきことです。
投資期間の違いによってとるべきリスクは異なるものの、評価損が出たものを長期に回すような取引に慣れてしまうと、
「儲かる時は短期投資のつもりで少なく儲かり、評価損は長期投資のつもりで抱え込む。そして最後は、抱えきれなくなって大きく損を出し、今まで儲かった分が全部吹き飛ぶ」
といった取引になりかねません。
なお、取引を一つの投資期間に集中する必要はありません。
資金の何%を長期投資、残りを短期投資というように、組み合わせて取引を行っても構いません。
ただし、ポジションを作る際に、きちんと最初にそのポジションの取引期間を意識する必要はあります。
もっと詳しく知りたい事や
理解できなかった事などございましたらお気軽にご連絡下さい。